TVC031:
“Hector” by Publicis, Paris for Renault Espace
【CMストーリー】
大きなターミナル駅を忙しく行き交う人々。その足下を、薄っぺらいマンガのキャラクターが歩いている。彼は電車に乗り、野山を駆け、川を渡っていく。そして目指した先は…
【コピー】
スペースこそ、究極の贅沢ではありませんか? ルノー。
【CMアイデアカテゴリーと解説】
ありえない映像をリアルに作る+擬人化する+対比する
一度見ただけで大ファンになってしまった、ルノー・エスパスのCMです。狭い枠の中に生きてきたマンガのキャラクター「ヘクター」が枠を飛び出して、広々とした場所〜究極の贅沢〜を目指して旅に出ます。エスパスの広さと、ヘクターが住んでいた枠の中の狭さを対比させて、人のように欲求を持った人物として擬人化し、「マンガのキャラクターによる現実世界の旅」というありえない映像をリアルに作っています。CGが本当にすばらしい。また音楽もいいですね。
そして!本当に注目すべきは!パックショット(商品カット)の短さです。この60秒のCMの中で、エスパスが写るカットはたった3秒間です。でもエスパスはフランス人全員が知ってるクルマなので、3秒で充分なのです。
またこのCMを見ただけではわかりませんが、パリの街には間違いなくこのCMと同じキャンペーンのビルボードが山ほど掲示されていたはずです。そこには同じキャッチコピーがあり、クルマの横にはきっとこの「ヘクター」がいることでしょう。
フランスのクルマの広告の考え方って、日本とはぜんぜん違うんです。TVはそのクルマの性格やコンセプト、あるいは人々に与えるベネフィットをエモーションたっぷりに伝えることに徹して、デザインを長時間見せるということはあまり重視されません。なぜならクルマのエクステリアデザインは雑誌広告やビルボード、新聞広告などの時間が止まった媒体で長時間見せることができるからです。
特にビルボードは重要視されているようです。なぜならクルマの写真を、時には実物より大きなサイズで見せることができるからです。クルマは大きな製品なので、大きな写真で見せるのはとても効果的、だと思われているようです。クルマのデザインの量感も、大きな写真なら伝わりますよね。
TVではエモーションを、プリントではデザインを。きっぱり分けたこの考え方が、僕は好きでした。
なんて言えるのも、僕は実はルノーの仕事に携わっていたことがあるのです。セーヌ川岸のルノー本社に何度も訪問しました。そして広告担当者に幾度と無く「君の広告でこのクルマのエモーショナルベネフィットが充分伝わるのか?」と聞かれました。「もちろんです」と答えてましたが、今考えてもこのCMのレベルには全然達してませんでしたよ…(涙)
クルマの広告となると、クルマ好きなのでしゃべりすぎてしまいますね。。。。
【予測されるアドアイデア】
ルノーエスパスの広さは、誰もが欲しがる究極の贅沢である。
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“Hector”
agency: Publicis, Paris
client: Renault
country : France
year : 2005