昨年の冬に引き続き、今年もマンダリンオリエンタル東京にあるタパスモラキュラーバー(Tapas Molecular Bar- Tokyo, Japan)を訪問。去年と同様に誕生日を祝っていただきました。
今年もくるくる回転するお皿達が出迎えてくれました。磁力で浮いてるのがわかりますか?
さぁ、Winter 20l3-20l4シーズンメニューの始まりです!
2時間のディナーコースは、才能あふれるシェフがお客さまの目の前で、ひと口サイズの料理を20品以上ご用意。新しい食感や香り、斬新なアイデアが驚きを与え、一皿毎に完成された美味に感動することでしょう。 1日2回のディナーのみで、1回につき8席限定です。(オフィシャルサイトより)
今回の食体験を提供していただいたのは、ヤブナカさんとアーロンさんです。
Aperitif アペリティフ
【Yuzu Sake Hot and Cold / 柚子 酒】
最初に出てきたのは柚子の日本酒。一見ふつうのグラス酒に見えますが、左右で温度が違います。中央の赤マークから、左が熱く、右が冷たいんです。これは初めての感覚。さわやかな柚子の香りが感覚を鋭敏にしてくれます。
Snacks スナック
【Celery Root, Chicken Heart / 根セロリ チキンハート】
むむ、これはいかにも鶴ですが、えっ、食べられるんですか?
その正体は、根セロリを煮たスープとゼラチンを混ぜて鉄板の上に伸ばし正方形にカットしたものを、乾く前に鶴のカタチに折ってるんです。折り紙が食べられるなんて!
こちらは鳥の心臓。だからチキンハート。
全体のプレゼンテーション。一品目からこのクォリティ。鶴が見据えているのは誰のハートなのだろう。
【Crystal Ravioli / クリスタル ラビオリ】
ラビオリですが、その素材も普通ではありません。
中はリンゴ、ドライフルーツなど。それを包むのが、エル・ブジのスタッフが来日する度に買って帰ったというエピソードが有名な『オブラート』。このラビオリを食べてみたかったんです!水気があるので、ぷるぷると柔らかい触感。
【Oyster / 牡蠣】
ここで牡蠣のお出まし。しかし殻の中にあるのは牡蠣の身ではなく、噛むと牡蠣と同じ味がするというオイスターリーフ。確かに、牡蠣の香りが口の中に広がりました。こんな葉っぱがあるとは知らなかった。
いつものキャビアの準備が進んでいます。注射器から落ちた滴は瞬間的にキャビアのような球形に固まりますが、中は液体のままなのです。アルギン酸ナトリウムと塩化カルシウムの饗宴。
【Green Apple and Cheese / 青リンゴとチーズ】
青りんごのキャビアと、パルメザンチーズの泡。去年は通常のチーズでしたが、今年は泡。進歩してる!
【Salmon Chazuke / 鮭茶漬け】
こちらも昨年に続いての登場、お茶漬けです。去年は鯛で、今年は鮭。赤く透明な球体は、お茶ではなく出汁汁です。これが口の中でお茶漬けの味を作り出します。他にない体験なのです!
Degustation デギュスタシオン
【Winter Landscape / 冬の大地】
冬の大地。凍てつく雪の下で息づく大地の力を表現。土はオリーブ。上に乗るのは根菜やピューレなど。白い雪はエシレバターの粉。
【King Crab, Aurora / タラバ蟹 オーロラ】
温かいタラバ蟹の身に、シャルドネビネガーの泡。繊細な味付けが蟹の風味を引き立てます。
【Porcini Mushroom Cappuccino / ポルチーニ茸のカプチーノ】
コーヒーサイフォンで入れるカプチーノスープ。こちらも去年に続いての登場です。
下のポルチーニ茸のスープが、上のコーヒー豆の中に上がっていきます。昨年初めていただきましたが、コーヒー味のスープは、実に香ばしくて美味いんです。
去年は通常のエスプレッソカップでサーブされましたが、今年は透明のカップが登場。可視化されたレイヤーが美しい。カプチーノのような薄茶の泡は、ミルクで伸ばしたポルチーニの泡。スープの中に見える黒い影はフォアグラのソテー。上は冷たく、下は温かく。温度の違いも楽しみます。いや、実に美味い。
【Yurine Espuma / ユリ根のエスプーマ】
手羽先などを煮詰めた鳥ソースとユリ根で作った、エスプーマのスープ。上に乗っているのはトリュフです。
木目の細やかなエスプーマの泡の、繊細な舌触り。
【Crest of a Wave HUME / 波の花】
肉系が続いたので、ここからしばらく海鮮系へ。ソテーしたホタテに、アサリの出汁で作った泡。オニオンとバターのソース。木の枠もガラス板下の写真のセレクトも、お店のオリジナルです。
【Smoked Amadai / スモーク 甘鯛】
燻製の煙で乳白色に染まった透明ガラスのカバーを取ると…
甘鯛が出てきました。お米のように見えるのは、ウロコ! 鯛のウロコに220度のオイルをかけて、パリパリに焼いています。鳥の皮をパリパリにするのと同じ手法なんですね。ウロコがこんなに香ばしくいただけるなんてびっくり!下のオレンジ色は金柑をグラニュー糖とオリーブオイル、ユリ根で煮たもの。
【Lamb, Straw / ラム 藁】
鳥の巣を模したかのような器によるラム肉のプレゼンテーション。ガラスの器の中にあるのは本物の藁ですが、ラム肉の上に乗っているのは藁に似せたゴボウです。肉の中にソースが封入してあり、ひとくちでいただくのは去年のギャートルズ風ラム肉と同じですね。
そのアップ。
【Borscht / ボルシチ】
ボルシチソースと、真空調理で熱を通した牛肉のステーキ。真空状態を保ったまま60度程度の低音で調理しています。柔らかくて美味しい!
この白いのは、パンです。スパシーバ!
Desserts & Petits Fours / デザート プティフール
デザートまでたどりつきました。
【Winter Lake / 冬の湖】
冬の湖の表面に張った氷のような、砂糖の薄い膜。
パリッと割ると、その先にあるのはパイのエスプーマと、クランベリーソース。
【Snow / 雪】
昨年とほぼ同じプレゼンテーション。液体窒素で固めたホワイトチョコの雪。
イチゴに乗るのは、雪の結晶のカタチをした砂糖。ピンセットがないと盛り付けできません!。
そして冬の樹を再現したチョコレートも、去年と同じ。
【Snow Globe / スノードーム】
このスノードームはスゴかった。底に見える粉は白いホワイトチョコで、柔らかく透明な球の中は液体で満たされています。そして球を手に持って振ると、チョコが雪のように舞い踊ります。これはまさしく、あのスノードーム。アルギン酸で作るキャビアとは真逆の手法で作られています。スゴすぎて腰が抜けました。
【Snow Man / スノーマン】
【Mont-Blanc / モンブラン】
左奥は綿菓子で作られたスノーマン(雪だるま)。上に顔があったのですが、写真を撮る前に食べちゃいました。その右はモンブランのムース、手前の黒いのはパチパチ音がするキャンディーが入ったチョコレート。
【Frufis / フルーツ】
そしていつものマジックフルーツが出てきました。この実を食べて1分待ちます。
その後にライムやレモンを口に入れると…甘い!
全く酸っぱくありません。
誕生日のプレートをいただきました!
前回の訪問から1年が経ち、更に進化したモラキュラーバー。今回も新鮮な驚きに満ちていました。
一度に食を体験できるのは8名のみ、そして1日2回だけの上演。季節で変わるメニュー。また訪問しますよ!
モラキュラーバーは地下鉄三越前駅下車、マンダリンオリエンタルホテルの中です。
▼人工キャビアや真空調理の詳細について知りたい人はこちらの本を。僕も持ってます。
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