モンスターペアレンツやキラキラネームというコトバをよく見るようになって久しいですが、それが広告のネタに使われる事はなかなかありませんね。しかし勇気を持ってこの種をネタに広告を作った国がありました。ノルウェーです。さすがスカンジナビア半島というか、過激さという点ではピカ一です。というわけでCMをどうぞ。
とある親子の話です。しかしこの親子はまったく普通ではありません。なんと母親と息子が1年前から婚姻関係にあります。しかもノルウェーでは法律的に結婚できないので、ヘーベカーキィ(たぶん実在しない街)という街まで引っ越して来ました。さらには息子が貯めてきたお小遣いを浪費して、火星行きのロケットを作ってしまいます。何故そんな事になったかというと、小さい頃に息子がこう語ったからですね。『僕は大きくなったら大好きな両親と結婚するんだ!だって一生一緒にいたいもん!そしてお金を貯めてロケットを作って、アイスクリームを火星に持っていくんだ!』そしてこの母親は息子を愛するあまり、これら全てを実行したのです。息子の貯金を浪費しながら。
演劇的な世界の中で狂気を効果的に描く方法は一つだけ。それは『強い共感のある狂気』を描く事。登場人物が本心から正しい判断だと考えて異常な決断を下す事。その動機が強く理解出来るのに、行った行動が100%間違っている事。これがドラマチックな狂気です。サイコホラーの常道ですね。ヒッチコックの『サイコ』も、ホラー映画シリーズ『SAW』も同じですね。このCMの製作者はそれがよく判っています。
ガリ意訳コピーは『子どもたちが欲しがるモノを与えるな。必要としているモノを与えよ。子どもたち専用お小遣いアカウント、デビュー』です。こんなバカな親になるなよ、というネガティブアプローチですね。いやぁ、ガクブル。
CMアイデアカテゴリは『理由のある狂った行動』『誇張する』とします。