JCペニー(J. C. Penney Company, Inc.)は、アメリカ合衆国に本社を置く大手デパートメントストアチェーン。(wikipediaより)
いじめられている女の子が主人公の、なんとも感動的な一作。彼女はサンタクロースが北極にいると信じていて、自力で北極探検用の旅行マシンを作り、空に飛び立とうとします。最初は懐疑的だった周りの人間も彼女の行動力に影響されて協力するようになり、やがて打ち上げの日がやって来ます。
ジョンレノンのReal Loveの素晴らしい歌の力もあって(許諾にいくらかかったことでしょう!)、見れば見るほど、涙腺がうるうるします。泣かせようとしてます。もう、ズルいです。これはもう映画と言って良いでしょうね。(何故かファンタジア2000の「ラプソディー イン ブルー」の女の子を思い出しました。あれもうるっと来たんだよなー)
もちろんJC Penneyはただ視聴者を感動させて「感動を生み出す百貨店」などの短絡的なメッセージを送ろうとしているわけではありません。
彼らは物を買う行為を「自分のファンタジーを実現すること」だととらえています。そして彼らはこのCMを通して、顧客のファンタジー実現を手助けをする事がJC Penneyの存在意義だと表明しています。商品は全く出てきませんが、そのメッセージは伝わります。これこそがブランディングです。
なぜその企業が存在しているかの理由を表明し、共感してもらうこと。そのための説得ツールとして、映像はとても力を持ちます。ここではオンエア量は問題とはなりません。企業や製品の根源的な存在理由は必ず顧客や社会の共感を得られるものであるはずだし、それを面白く興味ある形で表現する事が話題にならない訳がありません。アップルの1984を代表とする1回のオンエアで話題を生む広告とは、基本的にそういうものです。
翻って日本では、ブランディングはどう解釈されてるでしょうか。単なる刷り込みの事だと誤解されている事が多いのではないでしょうか。企業の大きなメッセージを感じる広告を、皆さんは最近ご覧になったことがあるでしょうか。
そもそもクライアントの担当者も代理店の担当者も、そして企業の社長さえも、その企業の存在理由について、ブランディングについて、時間をかけて根底の部分から話し合い、堅い合意を交わしたことがあるでしょうか。そうやって生まれた企業の大きなメッセージを興味ある形で伝える事こそがブランディングである、と考えた事があるでしょうか…
…さて長話はこれぐらいにして、このCMをカテゴライズしてみましょう。なかなか難しいところですが、つらい日常を抜け出してサンタクロースに会いに行こうとする彼女は立派なサンタクロースマニアであり、その行動は誰にも止められません。というわけで、「マニアになる」にしようと思います。