友人で同僚で天才の松村CDが新しいCMを作ったのでご紹介。
象印の炊飯ジャー「炎舞炊き」のCMを作りました。CGや合成はナシで、綾野剛さんが炎を舞ってくれました。https://t.co/zHNHGSOvUbhttps://t.co/xDIQ362L2Rhttps://t.co/Z3aUPHfFm0
— 松村祐治 (@matsumurayuuji) 2018年7月12日
CMは秒違いも含めて4タイプあるのですが、ここでは「炎の舞」篇30秒をご紹介します。
以下はオフィシャルの説明文。
「炎舞炊き」が目指した、大火力で揺らぐ炎について
綾野剛さんが熱く語ります。
そしてCGも合成も一切ない炎の演技で、
「炎舞炊き」を体当たりで表現しています。
役者魂あふれる、迫力のCMをご覧ください。
ではいつものように、って実に3年ぶりですがw、このCMを分析してみましょう。
このCMのコピーは?
象印マホービン / 炎舞炊き / 炎の舞 30秒
Na:
炎とは衝動
釜を突き上げ天をも焦がせ
かまどの灼熱を我が手に炎舞炊き
炎とは混沌
予測不能
薪のような炎が舞って米は舞う炎舞炊き
炎とは知性
炎が揺らぐようにローテーションするヒーター
大火力を讃えよ炎舞炊き
を表現しています
役者生命を賭けて舞え、炎、舞え、お米
象印の最高傑作
炎舞炊きCI: ZOJIRUSHI
以上がこのCMのコピーです。全編に渡って綾野剛さんがひとりで熱く語っていますが、その内容の基本は『商品説明』です。3つのIHヒーターを内蔵した新しい熱の伝え方「炎舞」について、詩的に伝えています。
注目すべき所は二点。
実は連呼CMである
30秒のなかで商品名を4回言っています。しかも1回目はCMがスタートしてから5秒後に発声されます。視聴者にとって連呼CMが覚えやすく、効率がいいのは皆さんご存知ですよね。
『役者生命を賭けて』が効いてる
綾野剛さんが真面目に『表現しています、役者生命を賭けて』、と語る部分がとてもイイ。真面目な綾野さんが面白く見えるのはもちろんですが、同時に、命を賭けなくては伝わらないほどスゴイ炊き方なのだ、というメッセージもテンション高めで伝わり、1行で2度オイシイコピーかと。
さすがベテランのコピーだと思います。
このCMの構造は?
スイッチがオンになって、炎が舞って、おいしいご飯が炊けた。その時間軸の流れをそのまま追っているという、実にオーソドックスでシンプルな構造です。
このCMのアイデアは?
このCMの基本アイデアを、拙ブログ流アイデアカテゴリに則って説明しますと、
一番大きなアイデアは『説明する』でしょう。新商品CMの基本は、商品をしっかり説明することです。全編を通し、死ぬ気で商品説明を行います!というコンテに心を動かされない経営者がいるでしょうか。
しかし単なる商品説明ではつまらない。そこで表現アイデアが必要となるのですが、ひとつは『擬人化する』です。厚釜の下で行われる強力で複雑な火力調整を、綾野剛さんとお米の精?たちが炎の舞で表現しているところが面白い。
もうひとつの表現アイデアは『誇張する』です。炎舞炊きの火力を説明するためにナパームを爆発させています。ナパームといえばベトナム戦争で米軍が使ったアレですよ。かつての宝島CMで脳が爆発したアレ(国外で撮影)ですよ。それがなんと日本で撮影されたとは…。今どきあまり聞かない豪快さで、圧倒されますね。現場の緊張感は凄かっただろうと想像します。
しかしまぁ、擬人化して、誇張して、説明するなんて、実にオーソドックスで正統派なCMです。CMの教科書の1ページ目に載っててもおかしくないぐらい、表現の芯が太い。これは誕生した瞬間からクラシック入りのCMですね。とても好きです。
象印さんは20年前に担当していたんですけど、最後は社長に直接プレゼンさせていただけるんですね、関西の広告が面白いのはここに理由があります。最終責任者に直接プレゼンできるということ、これは個性的な広告作りの鉄則のひとつでもあります。
▼ほんとに命賭けてるメイキングはこちら。
▼他のタイプの炎舞炊きCMはこちら。
象印マホービン 公式チャンネル
▼本日(2018年7月21日)発売の炎舞炊きはこちら。