TVC002:
【CMストーリー】
ある街で、どこかに向かって走る人々。みんな必死である地点を目指している。そしてその数がどんどん増えていく… 彼らが目指す先は人垣になっていて、皆が頂上を目指している。彼らは何のために登っているのか。頂上にいったい何があるのか…。
やがてカメラは頂上へ。次から次へと最頂点に登り詰める人が現れるが、その瞬間皆に引きずりおろされ、頂上にいられる時間はとても短い。それでも皆がひたすら頂上を目指している。カメラ引いて、ビルより高い巨大な人山の姿をとらえる。
コピー「楽しいよ!一緒にやらない? プレイステーション2」
【CMアイデアカテゴリーと解説】
置き換える+ありえない映像をリアルに作る
2004年のカンヌ広告祭でグランプリを受賞したプレイステーション2のCMです。さてこのCM、特にストーリーはなく、アタマからラストに向けて淡々と映像の過剰度が上昇して行きます。そして最終画面…悪夢のようにも感じる巨大な人の山が圧巻です。
しかし映像の迫力に圧倒されつつも、なぜプレステ2の広告がこうなるの?なぜゲーム画面も本体も見せずにこの広告が成り立ってるの?という疑問が生まれてきます。
おそらくその目的は、「プレステはクールなマシンだ」というメッセージを伝えることにあるのでしょう。子供向けの任天堂とは違う、大人向けのクールなゲーム機。それがこのキャンペーンでの、プレステブランドの位置づけだと思われます。
【アイデアから表現まで】
アドアイデアは
『プレステ2があると、誰もが頂上を目指さずにはいられない。』
って感じでしょうか。
実はこれはイギリスの広告ですが、プレステはヨーロッパ、特にイギリスで、プレステ1の時代から人のマインドに訴えかけるブランド広告を作り続けているのです。たとえばそのメッセージは「プレステの力をみくびるな」であったり、「プレステの未来の姿(プレステ9が登場!)」を見せたり。どの広告も、基本的にゲームの画面も本体も一切見せず、『人間にとって、TVゲームとはどういうものか』という本質的な問いを観客に投げかけ続けているのです。明確に大人向けの商品であることを宣言しているように見えますね。
ここの記事によると、プレステの広告はやはり海外ではコカコーラやペプシ、マクドナルドと同等の大きなイメージを作り出している、と認識されているようですね。
さてこのCMの構造ですが、ゲームで頂上を目指すという行動を、「お山の大将」というアナロジーに「置き換え」て、その山は人でできているという「ありえない映像をリアルに作る」ことで完成しています。
日本でこの”fun, anymore?”キャンペーンがオンエアされたら、どんな反応になるでしょうかね。わたくしもさっぱり予測できません…訳がわからないって言われるのかな。
ちなみにこのCM、周りではあまり好きだという声を聞かないのですが、わたくしは大好きです。だって頭の中で想像するしかないような景色が、リアルに映像化されてるのを見るのってそれだけで刺激的じゃないですか☆(SF好きだし)
監督は2002年のカンヌでもナイキ”Tag“でグランプリをとったフランク・バジェン。彼のプロダクションの名前は、「ゴージャス」。もうすべてがかっこ良すぎ。そういえば”Tag“も「ありえない映像をリアルに作る」ですよね!
歌はシャーリー・テンプルが歌う古い唄、このサイトで聴くことができます。歌詞もありますよ!
“Get on Board Little Children”
クリックするとすぐ音楽が始まります。音量に注意!
“MOUNTAIN”
client : Sony Playstation
agency : TBWA — London
director: Frank Budgen
country :UK
year :2003
▼薄いのが欲しい…
売り上げランキング: 40
在庫切れ
本当に、薄い、小さい。
薄小さっ!!
人それぞれの視点