TVC006:
“Skydiver” by DDB Chicago
for Anheuser-Busch
【CMストーリー】
上空を飛ぶ飛行機の中で、二人の乗客がスカイダイビングにトライしようとしている。緊迫した雰囲気の中で、インストラクターが大声で叫ぶ。「準備いいか!?」「うぉーっ!!」一人目が意を決して勢いよく空に飛び込む。そして二人目。「準備いいか!?」「やっぱできない!」「行け!」「無理だ!」 困ったインストラクターがそこで行った行動とは…
【CMアイデアカテゴリーと解説】
意外な利用方法+マニアになる+裏切る
皆さんはアメリカの「スーパーボウル」というイベントをご存じでしょうか。アメリカのプロアメリカンフットボールリーグであるNFLのチャンピオンチームを決める一戦で、今年は2月7日に開催されました。結果はzigzagさんのブログをご覧いただくとして…。
テレビの視聴率が毎年40%を越え、視聴者数では約1億3千万人以上と全米で絶大な人気を誇るこのスポーツイベント、ここで流れるCMも毎年大変なことになっています。30秒スポットを1回流すだけで、お値段今年は240万ドル、2億4千万円強ですよ!そこにはいろんなクライアントの威信をかけたCMが毎年流れるわけで、たとえばアップルのCM「1984」は1984年のスーパーボウルで放送されました。言うなればアメリカCMの檜舞台、数多くのカンヌ入賞作品もここから生まれました。
今日からしばらく、2月7日のスーパーボウルで流れたCMをご紹介していきます。
ちなみにこのイベントでは毎年Ad-Meterと呼ばれる視聴者調査が行われ、どのCMが一番印象的だったかというスコアリングが行われます。その2005年度の栄えある1位をとったのがこのCMです!
気持ちよくスカッと抜けたCMです。バドライトという成熟したブランドの商品なので、ここで描かれているのは味がどうおいしい、ということなどではなく、「バドライトが欲しい!」という強い欲望です。バドを追って飛び降りろ!と叫ぶと操縦士があわててそれを追って飛び降りる所がスピーディーで快感ですね。って、操縦士パラシュートつけてないし…
登場人物が全員アホすぎて、ホントこういうCM大好きです。一人目が落下する直前に見せる表情も最高ですね。
てなわけで、バドワイザーはスーパーボウルCMの常連です。毎年アメリカらしい表現で何本もオンエアしています。今年は5種類ぐらいあったから…それだけで最低10億以上の媒体料。でかすぎますよ話が。のけぞり。
【アイデアから表現まで】
アドアイデアは
「バドライトのうまさは、
重要な仕事を放り投げてしまうほどだ。」
でしょうか。
放り投げられる仕事が重要であればあるほど、
バドのうまさ、魅力が拡大されるわけですね。
アイデアから表現までの流れを想像してみます。
1:バドライトのうまさは、
とても重要な仕事を放り投げてしまうほどだ。(マニアになる)
2:世の中で重要な仕事といえば、飛行機の操縦士だ。
3:彼の近くにバドライトがあって、それが何かの拍子に飛行機から落ちて、
それを追って彼が飛び降りると、残された乗客は大変だ。
4:バドライトを落とすには、スカイダイビング中の出来事にして
なかなか降下しない客のために落下させればいい。(意外な利用方法)
5:ラストを印象的にするために、
操縦士の存在は最初はほとんど見せない。(裏切る)
これを毎度のごとく、5から逆に描いていけば、このスカイダイバー篇が完成します。
カメラワークも歯切れが良いし、音楽もいい。不要な説明がなく、誰でも即座に理解できる。
文句なく面白い。CMのひとつの理想型ですね。
今年のカンヌで賞を獲れると思います。
てかこんなブログ始めちゃうとカンヌに行かなくても
たいていの面白い海外CMに出会えちゃうような気が…☆
でもいいんです。今年行く予定ないんで。
日本からのカンヌ審査員レースに落ちましたから(涙)!!
ところで一度スカイダイビングってやってみたいんですよ。
あとバンジーも…なんとなく早く体験しないと手遅れになるような気が(笑)。
“Skydiver” (30″)
client : Anheuser-Busch
agency : DDB Chicago
director: Joe Pytka
country :United States
year :2005
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