TVC038:
“Cornfield”
by JWT Detroit
for Ford Motor Company
【CMストーリー】
「君がそれを成し遂げれば、『彼』はやって来る。」天啓のようなその声に導かれ、自分のトウモロコシ畑の改造に取り組む男。整地用の工事機械を駆使し、競技場を作り始める。地面を舗装し、白線をペイントする。そして完成した競技場は…
【コピー】
2005年型フォードマスタング。伝説は生きている。
【CMアイデアカテゴリーと解説】
ありえない映像をリアルに作る+マニアになる+引用する
僕が車好きなのはよく知られている所なのですが、「車のかっこいい乗りこなし」については、多分に漏れず映画から多大な影響を受けています。『気狂いピエロ』の中で、ジャン・ポール・ベルモントとアンナ・カリーナがそれぞれ青と赤のコンバーチブルに乗ってすれ違いざまに交わすキス、なんて非現実的だけどホント素敵だし、一度やってみたい。もし赤いランボルギーニカウンタックを買うようなことがあれば、『蘇える金狼』の松田優作のように早朝の新宿で手放し運転で信号無視しつつ爆走したい。今ならムルシエラゴですか。
そして、カーチェイスのある映画といえば、『ブリット』抜きには語れません。スティーブ・マックィーン演じる刑事ブリット。殺し屋の乗る1968 年型チャージャーに追われた彼は、時速160キロでサンフランシスコの坂道を疾走する。シャーシを擦ろうがおかまいなく走るその姿にシビれたものです。そのブリット刑事の愛車が、1968年式のフォードマスタング390GT(左写真)なのでした。このCMのコピー「伝説は生きている」は、ただ単にマックィーンを最新の合成テクニックを駆使して出演させたことを示しているだけではなく、この映画を知っている視聴者に対しては、より「深い」意味を伝えています。映画での彼のクールなイメージと、ブリットが愛した車、かつてのマスタングのマッチョなイメージを引用しているわけです。嗚呼、オタクだから書けるこのエントリー。マニア万歳。
ともあれ、この広告のアイデアのベースは刑事『ブリット』の起用であり、トウモロコシ畑をつぶして競技場を作るという映画『フィールド・オブ・ドリームス』の設定の引用は、マックィーンを登場させるための仕掛けでしかない、と言えるでしょう… でもその強引さは、好きですけどね。サーキットを作る男性のマニアっぷりも面白いし。恋人とか出して、「やめて!狂ったの!?」ぐらいは言わせたいところですね。
高校生の時に学校をサボって見に行った『ブリット』。神戸三宮のビッグ映劇でした。関係ないですか。しかし、ちょっとそこの車好きのあなた!『ブリット』見てないってのは許しませんからホント。ちなみにフォードの広告にマックィーンが合成で出演したのはこれが初めてではありません。同じブリット刑事の設定で、車は確かフォード・フォーカスだったかな…に出演してました。海外の雑誌広告で数年前に見ましたよ…(苦笑)
【予測されるアドアイデア】
2005年型フォードマスタングには、
我々が忘れていたかつてのスピリットが
しっかりと生きている。
“Cornfield”
Agency: JWT Detroit
City: Detroit
Advertiser: Ford Motor Company
Brand Name: Ford
Product Name: Mustang
Country of Production: United States
Length: 90 seconds
▼一度見た方がいいですよ、ホントに…
というか今さっき僕も注文しちゃいました!
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福野 礼一郎 先生激怒する。
寡黙さが渋いねー!
もう二度と作れない超クールな刑事映画