11月26日からTwitterでお話を連載しています。タイトルは「#鉛筆物語」。場所はGalliano Inspirationsのアカウント@ginspiration_sにて。1日1回の不定時更新で、クリスマスイヴに最終回を迎えます。こちらに収録済みの1話から7話をアップします。続きは上記アカウントにてお楽しみください!
1
あるところに、一本の鉛筆がいました。
彼の持ち主は、ひとりの男の子。
毎日塾に通ういそがしい小学生です。
2
鉛筆のしごとは、勉強のためにはたらくこと。
文字を書いたり、円を描いたり、
四角を描いたり、計算をしたり。
鉛筆はまいにち、いっしょうけんめい
勉強のことだけを手伝ってきました。
3
ある日のことです。
男の子が家の階段をかけあがっているとき、
鉛筆がぽろりと落ちてしまいました。
ちゃぽん!
落ちた先は、金魚の住む水そうのなか。
「やぁ、お客さんだ」金魚が言いました。
「やぁ、こんにちは」鉛筆が言いました。
4
すいすいと泳ぐ金魚を見て、鉛筆が言いました。
「君は泳げるんだね」
「君も泳げるよ。知らなかったのかい?」
鉛筆は自分が動けることをはじめて知りました。
5
泳ぐのはかんたんではありません。
でも金魚がじょうずにおしえてくれたのと
いっしょうけんめい練習したので
だんだんとうまくなってきました。
すいすい、すいすい。
自由に泳げるようになってきました!
6
鉛筆は、金魚に泳ぎを教えてもらった
お礼として、水そうの石ころに
「ありがとう。鉛筆より」
という字を書いてあげました。
7
水そうの中から、壁に貼ってあるカレンダーが見えました。
その写真にはとてもきれいな景色が広がっていました。
「金魚さん、あれはどこの景色なの?すごくきれいだよ」
金魚は答えました。「あれは『海』だよ」
「『海』っていうんだ。きれいだな。行ってみたいなぁ」
(続く>鉛筆物語)