ギネスの新しい広告キャンペーンが、11月4日、イギリスからスタート。彼らが長らく使ってきた「Good Things Come to Those Who Wait(良い事は待っている人の所にやってくる)」が変わりました。新しいラインは「Bring it to life」です。
その事もスゴいんですが、とにかく映像がスゴいんです!
監督はJohnny Green、撮影のために彼が起用したチームはオスカー受賞者達。映画と同じレベルでお金がズンバカ使われたことがわかります。でもイギリス人は日本よりも人口が少ないですよね。なぜそんなに制作費をかけることができるのでしょう?
理由は2つあると思います。
1つはこのキャンペーンが全世界で使用できる事。視聴者が何億人もいるのなら、制作費をその人数で割る場合1人あたりの金額は安くなります。すなわち最終的にはおトクです。
もう1つはメディアの使い方を工夫しているのが間違いない事。どこのクライアントでも当然広告費は限られており、一人あたりのROIだって厳密に計算されているはずです。その中で全体の広告予算を削りながら制作費を増やすにはメディアの効率的な使用法を編み出すしかありません。このキャンペーンでも効率の良いキャンペーンデザインがなされているコトは間違いないと思います。間違いないったら間違いない。
ギネスのマーケティングマネージャー、ポールコーレルはこう語っています。「Bring it to lifeの時代がスタートした事を印象付けるために、ブランドや愛飲者やギネスの一杯の味わいの中に見られる「人生」「エネルギー」そして「情熱」が映像的に表現される、本当にスゴいキャンペーンを作りたかったんです(via Adland)。
消費者に単なるアルコールを飲ませているのではなく、ブランドが持つストーリーを味わってもらう。誰もが心の中に持つエモーションを強く喚起させる。真っ当な広告ブランディングのとらえ方だと思います。ビールが出てこないコトからも、彼らがビールではなくブランドを売っているコトがわかります。
メイキング映像も見つけたのでご覧ください。英語字幕もガリ翻訳しました。
撮影はニュージーランドやカナダやフィジーなど様々なところで行われました。
特殊撮影チームと作業するために、ロケット科学者が起用されました。
フィジーでの水中シーン撮影は3日間でしたが、魚のCGI制作には4ヶ月かかりました。
手縫いで人工芝を作るのに、45人の女性と6日間という時間が必要でした。
氷河のシーンはニュージーランドの標高2600m地点で撮影。
カナダで撮影する前に準備期間として3ヶ月が必要でした。
気温がマイナス30度まで下がったことで、あまりの寒さのため樹木が何本も折れてしまいました。
出演者とクルーを移動させるために5台のヘリコプターと30台の4輪駆動車が必要でした。
車両に保険がかけられない走行路を45㎞進むのに2時間半がかかりました。
ところでこのCM映像には世界アドと書いてあるのですが、日本のギネスサイトには載ってません。何故でしょうね。
CMアイデアカテゴリは「ありえない映像をリアルに作る」「理由のある狂った行動」とします。