TVC009:
“Robbery”
by DDB Los Angeles
for Ameriquest Mortgage Company
【CMストーリー】
街道沿いの雑貨屋に男が入っていく。彼はハンズフリーのイヤホンマイクで電話しながらレジへ向かう。電話の向こうでは、何やら問題が起きているらしい。男はマイクに向かって言う。「……強盗だぜ。聞いてんの?強盗なんだよ!」…。しかしそれを自分へのメッセージだと受け取った店主は思わず…
【コピー】
早すぎる判断は禁物です。私達は違います。
「開かれた機会を提供する会社、アメリクェスト抵当会社」
【CMアイデアカテゴリーと解説】
置き換える・例える+思いこませる+間違う
お待たせしました。TVC007から引き続き、今年のスーパーボウルからの1作です。このCMはAd Meterの調査で、TVC006に続いて2位という輝かしい成績を残しました!
このCMもすごくセオリーに忠実ですね。誤解が元となって発生した雑貨屋での一事件。やがて視聴者の心の中に、あ、えらいことが起きた。何故…これは何!?という疑問が起きた瞬間、「早すぎる判断は禁物です…」という一連のコピーが出てきて、全体の謎が解明されます。
企画はたぶん以下のように進行したと思います。まずはこの一連のコピーが最初にあって、あとは「早すぎた判断によって引き起こされた、とりかえしのつかないひどい事件」を山ほど考えて、その中から30秒、実際は最後にコトバが入るので25秒ぐらいで描写できて、いちばん面白く演出できる事件を選べばいいわけです。
主人公の男性は見事に、まるであり地獄に落ちるようにストーリーの罠にはまっていきます。見ていて、構造がとてもキレイです。細い穴に砂がサラサラと落ちていく砂時計みたいに、正確にラストがやってきます。
この会社「Ameriquest Mortgage」はどうやらローン会社のようです。お金を貸す時に、カスタマーの要望にできるだけ合わせるようじっくり審査します、ということが言いたいようで。(追記:それだけアメリカのローン会社は審査が厳しいらしく〜かっきーさん情報提供による〜。きっと広告と視聴者の間に「たいていのローンは即座に断られるものだ」という事前の了解があるのでしょう。このへんはお国の事情が出ますね。)
【予測されるアドアイデア】
アメリクェストじゃないと、判断を急ぎすぎて、顧客に不利な結論を出してしまう。
【アイデアから表現まで】
1:アメリクェストは顧客のためにじっくり審査する。
2:他の会社は早い審査・判断で、顧客に不利な結論を出してしまう。
3:普段から人は、早すぎる判断を下されて、ひどい目に会うことがある。
(置き換える・例える)
4:その早すぎる判断は、見間違い、誤解から生じると面白い。(間違う)
5:不利な結論が出るのが当然に見える自然なストーリーを考える。
登場人物に(思いこませる)
なーんてサラッと書いてますが、その4や5を考えるのがすごく大変なんですよ!
でも同時にそこがいちばん面白いんですけどね。この仕事。シンド&ナンギー(毒)
このアメリクェスト、もう1本作ってますので、次回ご紹介いたします。
って、その2本流して、スーパーボウルの放送料5億円ですよ…恐るべし。
“Robbery” (30″)
client : Ameriquest Mortgage Company
agency : DDB Los Angeles
director: Craig Gillespie
country :United States
year :2005
▼海外CMで描かれる人生も、実際の人生も、たいていブラック&ビターですよ…(笑)
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