野球の世界一を決める国際大会にはワールドベースボールクラシック(WBC)以外にもいろいろあるのをご存知でしょうか。その中でもiBAFという所が主催している2009 baseball world cupがイタリアのネットゥーノという街で開催されてます。今日はその告知CMを紹介しましょう。
開催地がイタリアということで、参加国はヨーロッパがメインと想像される方もいらっしゃると思いますが、プエルトリコ、キューバ、台湾など世界中から出場しています。そして何より、我が日本チームも出場しています。wikiによるとこの大会はアマチュア世界一決定戦という位置づけになっているそうです。そんな試合が行われてるなんてぜんぜん知りませんでしたね。
さて今回のTVCなのですが、何やら物々しい雰囲気。映画『プライベート・ライアン』(原題”Saving Private Ryan”)で描かれたノルマンディー上陸作戦のような世界が描かれています。CM冒頭のスーパーにはこうあります。
1944年1月22日、36000名の兵士達がローマの50km南にあるアンツィオとネットゥーノの間に上陸した。彼らは第二次世界大戦の戦いの中でもよく知られた戦闘に巻き込まれようとしていた。
そして今年、世界から集まった新たな戦士達が、同じ栄光の地を駆けようとしている。
ここで語られているのは第二次世界大戦中のイタリア戦線におけるアンツィオの戦いです。1月22日の上陸はシングル作戦と呼ばれており、この作戦を考えたのはイギリス首相チャーチルでした。ちなみに上陸したのは米英を中心とした連合国軍、イタリアで彼らを待ち受けていたのはドイツ軍です。
とすると、TVCの中で上陸部隊に攻撃を仕掛けているのはドイツ人という事になりますね。その見せ方といい、スーパーにある「栄光の地」のコトバといい、CMは連合国側的視点で作られていることがわかります。いやぁ、世界大戦で負けると実に長期間イビられますね。
さらに調べていて興味深い事を発見しました。それはイタリアの野球史です。イタリアに野球が伝わったのは1944年のネットゥーノが始まりと言われています。これはシングル作戦と時期も場所も同じですね。ということは…連合国軍が野球を持ち込んだということですよ!
しかもネットゥーノを最初に占領したのは米国から参加した第509落下傘大隊だそうです。とすると、この大隊は野球用具を持参して上陸したのかもしれない? あるいは大隊の中に元大リーグ選手がいたのかも? 「戦場のプレイボール」なんて架空の映画タイトルまで浮かんで来ます(小ヒットしそうじゃないですか)。どちらにしても、この上陸作戦からイタリア野球の歴史が始まったことは間違いなく、今回のTVCアイデアもそこから生まれてます。いやぁなんでも調べてみるもんだ。
さて今回のiBAFワールドカップは27日が最終戦。もう結果が出ていると思います。残念ながら我が日本チームは二次予選を突破できず、決勝には参加していないということです。
最後に当時ナチスが制作したプロパガンダ映像をご紹介(2018年現在リンク切れ)。ドイツ軍はネットゥーノの戦いの後多数の連合国軍兵士を捕虜とし、ローマに連行したと言ってます。しかしこの数ヶ月後の6月5日、ローマは陥落しました。
というわけで最近歴史の面白さに気付いたガリアーノであります。
今回のTVCのアイデアカテゴリは、「立派な状況の中でくだらない事をする」「あり得ない映像をリアルに作る」「置き換える・例える」とします。