前エントリに引き続いて音楽ネタです。全く笑わないマリア・シャラポワ主演のナイキCM。カンヌ2007の音楽部門のゴールドを受賞しています(良い画質・音質の映像はこちら)。ここで使用された楽曲は1957年初演のミュージカル「West Side Story」の「I FEEL PRETTY」。作曲はレナード・バーンスタイン。劇中のヒロインであるマリアは恋人トニーと会える嬉しさを押さえきれず、自分がいかに可愛く素敵であるかを仕事場の同僚の前で歌います。その一曲がこのCMでそのまま引用されました。む、ちょっと待てよ。マリア!?そうなんです。この歌は生まれた時から世界中の全ての「マリア」のためにあるのです!この見事な発見と「私は可愛い」という歌詞を逆手にとった企画・演出がカンヌの審査員達を唸らせたのでしょう。普通にこの曲を使うと「マリア・シャラポワの可愛い面を見せるだけ」のCMになっちゃうと思うんですよね。というか全部で何カットあるんだよ!と思って数えてみたら38カットありました。シャラポワは18カットに出演。出演者は歌う人だけでも25人以上。もうこの撮影準備の手間はどんだけぇ〜!ですよ… というわけで、このCMもアイデアカテゴリは「引用」と「グルーヴ」とします。
CMを企画する人間はあらゆる芸術に触れ、その記憶を留めておく必要があります。特にミュージカルや映画音楽は音楽ネタの宝庫です。著作権の使用料が高くて払えない場合には何千曲という名曲が揃うクラシック音楽があります。優秀な映像関係者は音楽の力を熟知しており、あらゆるジャンルの音楽に精通しているものです。僕はロックに弱いので勉強しなくちゃと思っていますよ…。
参考までに1961年公開の映画「West Side Story」の「I FEEL PRETTY」もご紹介。マリアを演じるのはナタリー・ウッド。僕は高校の時、神戸三宮のビッグ映劇で初めて鑑賞しました。実際のミュージカルのように、映画が始まる前に主要人物のテーマのメドレーが流れるのに驚いた記憶があります。ちなみにwikipedia情報によるとマリアの歌は吹き替えだそうです。また、CMと映画では歌詞に2箇所違いがあります。最後にナイキCM版の歌詞を記しておくので探してみてください。
(ナイキ版の歌詞)
I feel pretty
Oh so pretty
I feel pretty and witty and bright
And I pity
Any girl who isn’t me tonight
I feel charming
Oh so charming
It’s alarming how charming I feel
And so pretty
That I hardly can believe I’m real
See the pretty girl in that mirror there?
Who can that attractive girl be?
Such a pretty face
Such a pretty dress
Such a pretty smile
Such a pretty me!
I feel pretty
Oh so pretty
I feel pretty and witty and bright
And I pity
Any girl who isn’t me….
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